砂季たちは金欲しさに悪の組織の求人を漁っていた #風菜 「おい これなんかいいんじゃないか? 山賊だってよ 街に出て略奪するのに参加していいようだ」 #砂季 「なんかきつそうだなあ あまりキツイ仕事はやりたくないなあ」 #風菜 「どうしてもきつかったら逃げ出してしまえばいいじゃないか」 #砂季 「私、仕事を途中でぬけるとか出来ないんだよね 一緒に働く人に悪い気がして」 #風菜 「悪の組織として悪い事をやって何が悪い とりあえず行ってみようぜ きついようなら私が率先してぬけるから」 #砂季 「ふむ そういう事ならやってみるか」 #山賊頭 「おめえら新入りだな 経験はあるのか?」 #風菜 「略奪なら何度もやっている」 #山賊頭 「おもしれえ おい、おまえがこいつらの指揮を執れ」 #山賊 「かしこまりやした」 # 山賊頭は立ち去りなにやら幹部らしき集団で話しを始めた #山賊 「聞いた通り私がおまえらの面倒を見る事になった 私の命令に従ってもらおう」 #砂季 「はい!」 #山賊 「よし」 #山賊 「わたしらは酒屋を狙う事にする ケチな店で危険は大きくない だがちんたらするなよ いつまでも残ってると捕まっちまう」 #砂季 「つまり急いで酒を積めばいい訳ですね」 #山賊 「そう言ってるじゃねーか 私は経験豊富だから荷造りする おまえらはそれをトラックに積め 最後の荷造りが終わる前に全部トラックに積んでおけ 5つまでは許してやる それ以上遅れたら許さんぞ」 #砂季 (何て厳しいんだ もう帰りたい) 山賊 「合図だ 突っ込め よし 運転はなかなかうまいぞ」 店の中にはおっさんが一人いた 酷く驚き動揺した様子だった #山賊 「殺せ殺せー!」 山賊が叫ぶとおっさんは逃げ出した 直ちに酒をかき集めてケースに収納するなりロープでまとめて縛り始めた ものすごいスピードだ #砂季 (何というスピードだ 人間にこんな動きが出来るのか) 砂季は荷物を運ぼうとする が、持ち上がらない 物によっては30kgほどの重さがある 砂季の限界を超えた重さだった #砂季 (ここまできて無理です出来ませんなどと言えるか!?) 砂季は全気合と根性を解放し全身全霊の力で荷物を持ち上げた ふらつきながら入口へと向かう そして通路と入り口の狭さに今更気づき青ざめた #砂季 (この狭さでは追い抜きは出来ない つまり一番遅い私のペースにみんなが合わせる事になってしまう もしも積み荷が遅れたら私のせいだ) 地面を踏みしめトラックへと急ぎ荷物を積むのも急いだ #砂季 「よし 次だ」 少しでも時間を稼ぐため次の荷物めがけて走る 二回目三回目と荷物を運ぶ回数が増えるごとに荷物が重くなっていくかのように感じだ #砂季 (まずい…… 長くは持たない はやく終わってくれ) 意識をもうろうとさせながら早く終わってくれることを願う そしてついにその時が来た #砂季 (マズイ…… 持ち上がらない うわああああああああああああああ) どれだけ気合を込めようとも物理的に持ち上げるだけの筋力がもう残っていなかった #風菜 「よくやった よこせ 後は任せろ」 #山賊 「終わったぞ 少し運ぶのが遅かったようだな まあ今日は初仕事だしおまけしておこう」 # 山賊は自ら荷物を運び始めた ひょいと軽く持ち上げる #山賊 「撤退だ」 最後の積み荷を済ませシートをかぶせると発進した 隠れ家まで無事に帰る事が出来た 砂季はへとへとですっかり衰弱しきっていた #山賊 「今日は成功した 店の商品と売り上げを根こそぎ奪う事が出来た」 #砂季 「わたしが運ぶのが遅くてすみませんでした」 #山賊 「いつまでも気にするな 仕事の失敗を気にするのは仕事が終わるまででいい いつまでも気にしてもいい事は何も無いぞ それよりも私たちは成功したんだ 喜べ」 #砂季 (別に略奪なんか成功してもうれしくないけど) #山賊 「もうすぐ山分けが始まるぞ 遠慮せずもらっていけよ」 物資をもらう人間で列が生まれた 一巡すれば全ての物資をめぐるようになっている 「おまえらは今日だけ稼ぎにきた奴らだな?」 #風菜 「そうだ」 金の入った封筒を渡される 厚みと透けて見える万冊に驚く #砂季 (嘘だろ こんな割のいいバイトは見た事無いぞ 半日でこれとは) 次に保存食が積み上げられている 「欲しいだけとってみろ」  「とりあえず米を30kgもらおう」 「そんなもんでいいのか? もっともらっておけ 100kgは持って行ってくれ」 あまりの奮発の良さに驚く 「悪いが日用品はいつも不足してるんでな おまえらには渡せん 悪く思うなよ」 「まぁ日用品はいらないか」 その後も様々略奪した物資を山分けした 「この酒をとってきたのはおまえらだったな 遠慮せず持って行け」 「生ものは今日中に食べちまうんだ 捨てるほどあるから食べていくがいい 酒は飲めるだけ飲んでいいぞ」 #風菜 「いやあ 一仕事した後にこういう自然の中で大勢で一杯やるのも悪くないな」 #砂季 「たまにならこういうのもいいかもな このくらい楽しい事が待ってるのならばたまには苦労するのも悪くない」 #風菜 「おまえ手がプルプル震えてるぞ」 #砂季 「コップを持つのももう限界なんだ」 #柚月 「あはは おもしろーい」 #風菜 「刺身食って回復しろ たんぱく質を摂取しろ」 #砂季 「そんなすぐ回復しねーよ」 #砂季 (苦労も報われるのならば悪くは無いものだな) #山賊 「おう やってるね 今日の働きはなかなかだったよ またよろしくな」 #砂季 「すみませんが私には向かないようです もうへとへとです」 #山賊 「すぐになれるさ 二回目はずっと楽になるはずだ それに酒の飲みっぷりもいい」 # 砂季は酒好きで杯は注いでも注いでもすぐに空になる #砂季 「一仕事した後の一杯というのはうまいものですね」 #山賊 「そうだろう ひと汗かいては一杯やる 最高の人生だと思いませんか」 #砂季 「う〜ん わたしはあんまり」 #山賊 「そうか? あんたは見るからに学者だからなあ まあ気が向いたら頼むよ あんたらくらい働いてくれる奴は実は珍しいんだ」 # そう言い残すと山賊は仲間に元へ去っていった